ミュージカルしゃばけ

あらすじ

本当の“居場所”を見つける二つの物語。
じんわり響くお江戸ミュージカル

「空のビードロ」『ぬしさまへ』所収


松之助は八つのときから奉公に出され、寂しく貧しい生活を送っていた。
じつは、日本橋の大店である廻船問屋兼薬種問屋・長崎屋の若だんなとは腹違いの兄弟であったが、とうに縁を切られ、実の母とは死に別れ。
義理の父とは折り合いがあわず、孤独な身の上だった。

そんな松之助が奉公している桶屋・東屋で、犬猫が殺されるという不可解な事件が次々と起こる。
最初は気味悪く思っていただけだったが、やがてその事件が、 松之助の人生を変えることとなり……。

これは、墨壺との対決『しゃばけ』の裏で起こっていた、もうひとつの物語。

「畳紙」『おまけのこ』所収


紅白粉屋・一色屋のお雛は、見る人が驚くほどの厚化粧だった。
左官の漆喰のようだと陰口を言われても、素顔で人と接することが怖くて、 どうしても厚化粧をやめることができず、一人で悩んでいた。
そんなお雛が、ひょんなことから長崎屋の妖(あやかし)・屏風のぞきに悩みを打ち明けることになる。
普段から憎まれ口ばかりを叩いている屏風のぞきは、
「化粧を落とすなんてわけないことだろ」と言い放つのだが、お雛の心は頑なで……。

へそまがりな妖が、意地っ張りな人間の娘を笑顔にしようと奮闘する物語。

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